法定相続人が複数存在し、その中でも特定の人に多く財産を残したいという場合は相続税法の配偶者の優遇規定が適応されます。さまざまな規定があるため、まずは一度ご相談ください。
CASE STUDY 実際の事例
高齢のご夫婦が相続対策でご相談に見えました。ご主人に万が一あった場合の法定相続人は奥様、⾧男、⾧女の3人です。ご主人は⾧年連れ添った奥様に遺産を多く残してあげたいとのこと。そのような理由から、配偶者の優遇規定が相続税法とはどのようなものかとご相談いただきました。
SOLUTION 当事務所による解決
相続税法の配偶者の優遇規定は、〔1〕配偶者の税額軽減(相法19の2)、〔2〕贈与税の配偶者控除(相法21の6)、〔3〕小規模宅地等の特例(措法69の4)などの各規定になります。 〔1〕~〔3〕の詳しい内容はポイントをご覧ください。
近年は親と同居する子どもが少なくなっており、将来を見据えて自宅を確保する目的で生前贈与する方が増えております。しかし、贈与税の配偶者控除を適用する場合、登記費用(登録免許税、司法書士報酬)や不動産取得税が新たに発生するなど、それぞれの優遇規定にはメリット、デメリットがあります。一度、財産の棚卸しをされる意味で相続税(贈与税も含む)の試算をおすすめしました。
POINT ポイント
①【配偶者の税額軽減について】
被相続人の遺産の形成に寄与したことや配偶者の老後の生活保障を目的としており、その取得した遺産が1億6千万円または法定相続分のいずれか多い金額まで無税とされます。
②【贈与税の配偶者控除について】
婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産または居住用不動産の取得資金の贈与を受けた場合、翌年3月15日までに現実に居住し、引き続き居住見込みであれば、贈与税の申告の際、2千万円まで控除できます。
③【小規模宅地等の特例で特定居住用宅地等などについて】
配偶者が取得した場合、保有継続要件や居住継続要件などの要件は必要なく、無条件で330㎡まで課税価格が80%減額されます。すなわち、相続税の申告書の提出を要件として、評価額1億円の居住用宅地(330㎡)でも2千万円の評価額になります。